Errand Consultingの考えるStrategic HR
企業が持続的に成果を上げていくためには、組織で働く人材がどのような状態にあり、人事部門がどのようにその向上に寄与すべきかを、経営の視点から捉え続けなければなりません。
これは21世紀初頭から繰り返し論じられてきたテーマですが、いまだに単純な正解は存在しません。
なぜなら、組織の成果は人材施策だけで決まるものではなく、経営判断、事業環境、労働市場、そして時代の価値観までを含めた複雑な関係の中で形づくられるからです。
Errand Consultingは、この問いに対して、組織パフォーマンスを支える主要なドライバーは次の3つであると考えています。
- 専門スキルと経験
- プロトコルとコミュニケーション
- エンゲージメント
この3つを高い水準で維持し、事業成果へと結びつけていくことが、組織にアサインされたリーダーシップの本質的な役割です。
たとえば、リーダーシップがドライバー/ナビゲーターであるなら、専門スキルと経験は組織を動かすエンジンであり、プロトコルとコミュニケーションは組織運営を円滑にする潤滑油、エンゲージメントは組織を前進させるための燃料です。
組織が成果を上げ続けるためには、これらの要素が単独で存在するだけでは足りません。
それぞれが適切に組み合わされ、現場の実態に応じて維持・改善されてはじめて、組織は持続的に機能します。
Errand Consultingが考えるStrategic HRとは、こうしたリーダーシップを支援しながら、人と組織に直接働きかけ、組織目標の達成を後押しする実践的な経営支援機能です。
Strategic HR Framework
Strategic HRは、人事部門だけで完結する活動ではありません。
その本質は、経営者、事業部門、従業員、労働市場をつなぎ、戦略目標の達成と組織生産性の向上を支えることにあります。
しかし、それぞれの主体は異なる外部環境の影響を受けています。
- 経営者は、資本市場と業界の競争環境に常にさらされています。
- 事業部門は、戦略実行の局面において、競争環境と地域経済の影響を大きく受けます。
- 従業員は、自らの職務や企業内部の条件だけでなく、地域経済や時代の価値観にも強く影響されます。
- 労働市場は、企業の将来性に対する評価と、求職者側の価値観の変化によって動いています。
Strategic HRは、この複雑な関係の中心に位置し、それぞれの主体と環境をつなぎながら、組織として成果を生み出せる状態を設計・維持することを求められます。
その関係は、下図のように整理できます。

このフレームワークが示しているのは、Strategic HRとは単なる人事施策の高度化ではなく、異なる環境圧力の中に置かれた主体同士を結び、組織パフォーマンスを成立させるための統合機能であるということです。
導入の前提
Strategic HRを実際に機能させるためには、まず組織の現状を可視化しなければなりません。
その第一歩となるのが、人事情報の見える化です。
これは単なる人員データの整備ではなく、組織構成員一人ひとりの役割、必要なスキルセット、配置の妥当性を把握できる状態をつくることを意味します。
さらに、以下の把握が必要です。
- 組織のエンゲージメントレベル
- 現在の業務における権限と指揮命令の構造
- コミュニケーション上の課題やボトルネック
この段階で重要になるのが、人事情報システムの整備、コミュニケーションツールの導入、そしてHRBPの配置です。
ただし、Strategic HRは、インフラを整備し、HRBPを配置しただけで実現するものではありません。
実際には、多くの組織がそこで止まってしまいます。
実行の本質
Strategic HRの本質は、前述の3つの戦略実現ドライバー、すなわち専門スキルと経験、プロトコルとコミュニケーション、エンゲージメントを基盤とし、それらを活用して戦略を実行するリーダーシップを、人事部門として継続的に支援できる仕組みを構築することにあります。
そのうえで、各組織の状況に応じて、これらの要素をどのように組み合わせ、どのような課題を設定し、どのように改善していくかを設計し続けることが求められます。
どの要素が不足しているのか。
どこにボトルネックがあるのか。
不足するリソースを、育成・配置・採用・制度・運営のどの手段で補うべきか。
これらを一つひとつ個別の課題として設定し、解決していかなければなりません。
その運営には、通常のPDCAサイクルによる管理が必要です。
しかし、単なる施策管理では不十分です。
Strategic HRにおいては、各課題への対応とその成果が、最終的に事業KPIと連動して評価されることが不可欠です。
Errand Consultingは、Strategic HRを「人事が戦略に近づくこと」そのものとは考えていません。
私たちはそれを、人と組織を通じて事業成果を持続的に実現するための実務的なマネジメントシステムとして捉えています。
HRDの役割
この仕組みが、個別の組織だけでなく、全社にわたって継続的に機能するように制御していくこと。
それがStrategic HRにおけるHRDの役割です。
HRDは、制度を整備するだけの存在でも、個別施策を運営するだけの存在でもありません。
経営、事業、現場、労働市場をつなぎながら、各組織における課題設定と解決を支え、組織パフォーマンスの再現性を高めていく存在です。
Strategic HRとは、HRが経営に近づくことそれ自体ではありません。
人と組織を通じて、事業成果を持続的に支える仕組みをつくり、動かし続けること。
それが、Errand Consultingの考えるStrategic HRです。
これまで、HR Transformationという言葉は、HRISの導入を中心にオペレーション業務を人事部門から切り離すことを主眼に使われてきました。しかしErrand Consultingは、本来の目的であるStrategic HRの実現を可能にする人事組織への転換であるHR Transformationの実現をサポートします。
